電撃文庫「ソードアートオンライン1 アインクラッド」(川原礫)

 
 VRMMO内を舞台にした、開発者とプレイヤーのデスゲーム。片手剣
 使いでソロプレイヤーである主人公と、実力No.1と言われる、ギルドの
 副団長を務めるレイピア使いの女の子が中心の物語。
 
 まーなんつーか、いろんな意味で判りやすい。話の筋が1/3超えたら
 見える&各フラグもバレバレ。しかし、それが悪い方にではなく、見たく
 なって読み進めてしまう上手い作り。最後は少しバタバタ&尻切れの
 だけど、終わらせ方そのものには「グッ」と来た。個人的に「その後」を
 激しく見たい作品。・・・なんだけど、2は「その後」ではないみたい
 なので、追いかけるまではないか。

ABHAR「水平線まで何マイル?」感想

・「水平線まで何マイル?」(ABHAR) 55点
http://abhar.jp/contents/products/prod01/
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[シナリオ]

何から成果を出さないと強制解散となる宇宙科学会のメンバーが
成果としてライトモーターグライダーのコンテストに参加するため、
まわりを巻き込みながらも作り上げていくというお話。

部活動…いや、同好会の雰囲気は、それなりに出てはいるんだが。

お話の肝心の部分が飛ばされていたり、ルートによっては何が起き
ているかも全くわからずに、何となく解決をして終了してしまうのは
ちょっと…。一応、一通り話の繋がるルートもある事はあるものの、
全ルートを通じて問題解決までの過程や各キャラクターの深層的
な感情の表現が「かなり」不足してて、置いてけぼり間が強い。
「あれ?あれ!?」という感じ。

他の部分は総じてレベルが高いだけに、これではもったいなさ過ぎ。

[グラフィック]

深崎氏の等身の高い美麗なキャラクターは○。立ち絵は表情&
ポーズとも豊かで生き生き。若干イベント絵にばらつきが見られる
のと(気になるレベルではないけど)、背景が若干浮いた様に感じる
以外はおおむね満足。

[スクリプト・演出]

エロゲでは珍しい、ワイド画面と特徴的なテキストと立ち絵の表現。
通常シーン&イベントシーン切り替えも違和感なく、ダイナミック
に動く場面こそないものの、文章にリンクさせた多彩な表情変化や、
遠近感を持たせた面白い表現もあり好印象。欲を言えば、クリック
で表情変化と同時にテキストも飛ばせると良かった。

演出とは少々違いますが、用語によってはリンクから用語集を参照
出来るのも面白い。各種機能が使いにくいと思うのは、自分だけ?

[エロシーン]

各キャラとも1回づつ。1回に収めているため、シチュが初めてにして
は慣れてますな!と思えてしまうのは仕方ないところか。今のエロゲ
というより10年くらい前のエロゲに近い、というと判る人はいるかも。

[声優]

違和感を覚える演技もなく、各キャラクターともよく合っていると思い
ます。特に、陽向役の雛見嬢は完全に役に入り込んだ好演技。声質
が自分にあっているのもあるけど。あとは、やはり教官でしょうか。


シナリオ(とエロ)ではお勧め出来ませんが、それ以外ではレベルの
高い作品。「非常に」もったいない作品。

AXL「恋する乙女と守護の楯」感想

・「恋する乙女と守護の楯」(AXL) 60点
http://www.axl-soft.jp/products/03/index.html
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[文章]

特殊な比喩や言い回しは皆無で、特に目に付くようなところもなく
読みやすい部類。書いてないのかそうでないのかはわからないが
各シーンの細かい表現が簡易的というか淡白。

[シナリオ]

特殊要人護衛課に所属する新人エージェントの如月修史。
あるクライアントからの依頼により、お嬢様学校に女装し単独潜入
>対象者の護衛を行うという話。

全体的にこれはと目に付くところがなく弱い。何を表現したいのか
ゲーム中から感じられず、どれも半端。戦闘シーンや護衛に際する
部分は細かい表現(道具・戦術・見せ方など)がお粗末。お嬢様学校
内での生活は多少は表現されているけど、具体的にこんなんだ!
と際立つ部分もなく・・・挙げればきりがない。テンポ自体は悪くなく
笑えたり魅入る部分もあったけど、そっちの面がどうしても目立つ。

また、共通ルートが「非常に」長くて、個別ルートが「非常に」短い。
個別に入るとバタバタしたまま終わってしまい、個別ルートなりの
展開が少なすぎ。恋愛過程に関しても、あまりにも都合良いと思う
のは俺だけか(ネタバレになるので回避)。

[グラフィック]

瀬之本久史氏の独特ながら躍動感のある描き方は好印象。特に、
ミニキャラはコミカルで◎。背景はもう少し描きこんで欲しかった気
もするけど、氏の絵とマッチという面でいけばこれでも。イベント絵
の枚数も、少ないとは感じず。

[スクリプト・演出]

せっかく戦闘シーンやそれに類似する部分があるのに、あまりに
動きがなくて眠い。「これ、戦闘シーン…なのか?」と思ってしまう
くらい。通常シーンは派手な動きはないものの、立ち絵の切り替え
は無難にまとめられてます。

※動き自体はかなり軽め、低スペックマシン(PII-300)でも快適

[エロシーン]

尺は長くもなく短くもなくちょうど良いくらい。CG枚数は割と多め。
エロメインではない作品だけど、そこそこです。あれは全員標準
装備…あれってなによ?

[声優]

悪い意味でなく、安定してる人とそうでない人の差が大きい。有里
や設子は一見すると「え?」と感じてしまうところもあれば、お!と
思わせてくれる表現もあって、味を感じます。青山嬢や北都嬢は
当然ながら大安定で、全体を見てもいい配役構成だと思います。




瀬之本久史氏の絵が好きな人向けの作品。ゆかり嬢が好きな人
にも。シナリオや文章目的ではお勧めしづらい。

電撃文庫「ロウきゅーぶ!」(蒼山サグ)

電撃文庫ロウきゅーぶ!」(蒼山サグ)


 帯と表紙から到底想像出来ない真面目な女子バスケ部話。非常にアンバランス
 だけどそれがかえってよく、いい意味で驚かされました。起承転結もしっかり
 してて○。特に、最後の締めは思わず何度も読み返してしまった。1巻としては
 非常にいい形で終われていると思います。


 帯の謳い文句の視点から言ってみれば、ロリではないけどロリ。これは間違い
 ない(爆)。智花はいい娘です。


 電撃文庫の定番シリーズとなれるか、これからも要注目。

電撃文庫「アクセル・ワールド1. ―黒雪姫の帰還―」(川原礫)

電撃文庫アクセル・ワールド1. ―黒雪姫の帰還―」


 6日に発売されてたので、他の作品と合わせて買ってみたら大当り。


 近未来な世界を、くどすぎずわかりやすく物語に組み込んでおり、
 話の順立ても秀逸。文章自体も変な比喩やネタもなく読みやすい。
 途中である程度オチがわかってしまい、一部感情の表現が弱くて
 理解のしづらい面はありましたが、最後までぐいぐい引っ張って
 いく展開は読んでて気持ちよし。挿絵はまあ・・・こんなものか。


 近未来系世界が好きで、主人公に違和感を覚えない人は、読んで
 みてもいい作品。

MF文庫J「原点回帰ウォーカーズ」(著:森田季節/絵:深崎暮人)

MF文庫J「原点回帰ウォーカーズ」(著:森田季節/絵:深崎暮人)
 http://www.mediafactory.co.jp/c000051/archives/021/001/21116.html
 

 変な表現の多い文章、名前の覚えにくい登場人物、ご都合主義全開で
 ぐったり。お話ととしては・・・同じ日をぐるぐる、事件を通じ運命
 を改変していくもの。深崎暮人の絵は○。挿絵枚数もそれなり。
 

 変な表現を少なくして、登場人物の名前もすっきりさせればもう少し
 印象は違ったかもしれない。読みにくすぎて、続きを読もうという気
 になれませんでした。

Ricotta「プリンセスラバー!」感想

・「プリンセスラバー!」(Ricotta) 60点(エロメインなら+10点)
http://www.ricotta-soft.jp/products/prilover/
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[文章]

多少言い回しがくどい面を除けば、ネットスラングなどのネタ的
なものは入っておらず、素直な文章。特に読みづらいなどはなし。

[エロシーン]

まさにエロゲ。この点には抜かりなし。

一番びっくりしたところ。通常の恋愛AVGと比べて、倍かそれ以上と
多い日も安心。それぞれのシーンに別々のイベント絵が実装されて
おり、シチュエーションも豊富。文章も濃い目で、多少特殊なプレイ
はあるものの、こもり氏の絵&エロ好き!ならば満足出来るのでは
ないかと。

エロゲと呼ぶにふさわしい質量。

[シナリオ]

料理番組に例えると、調理過程はほとんど省略され食べるシーン
ばかり出てきて、とりあえず「美味い!」と言ってる感じ。

前半はスカスカの飛び飛び構成で省略しまくり。後半はエロ中心に
して話はとりあえず読めるようにしてみた、という感が強い。EDまで
持っていく展開はどれも似たような構成で退屈。

また、お嬢様を前面に押している割には、お嬢様という立場に特化
したイベントが少ないのも?なところ。単発ではそこそこいいイベント
もあるんだけどなぁ。

[グラフィック]

原画はこもりけい氏。立ち絵・イベント絵(エロ含めて)ともに力を
入れて描かれており、なかなかのクオリティ。一部立ち絵のポーズ
バランスが良くないか?と思う部分があるだけで、あとは完成され
ています。背景もまずまず。全体的に良質といって差し支えなし。

[スクリプト・演出]

スクリプトエンジンは「そして明日の世界より−」などで使用されてる
QLIE」。割と軽めで軽快に動作する印象。

演出自体は地味です。が、立ち絵&イベント絵差分が豊富で感情の
表現は良好。文章にしっかりあわせて来ています。特別な事はない
のですが、これを出来ているメーカーは少ない。地味だけど丁寧で
好感触。特に、聖華のスクリプトは生き生きしてて、愛を感じる。

[声優]

安定感抜群。特に不満なし。特に印象に残った方を挙げるとすれば、
佐本二厘嬢(聖華)。役を完全に掴んだ(と個人的に思う)、喜怒哀楽の
豊かな演技にしびれました。男性声優陣の演技も上手い。

[こんな人にお勧め]

佐本二厘嬢は好きですよ?
・シナリオはともかくエロは濃くないとね!
・こもりけい氏ならご飯3杯はいける
・ヒヒーン(謎)

佐本嬢のファン&エロメインが好きな人にお勧め。